エールと三行半(みくだりはん)
まあ、クリスマスも終わったことですし、
(これを書きあげるのに時間がかかってすっかり年の瀬ですが)
最近また胸にめらめらと立ちふさがったことを、くだくだと書いてみるのですよ。
だれかに向けているような、ひとりごとのようなことを。
◆
私は、いじめられっ子だったんですよ。
小学校の6年間。
同じ一人の男子、ときどきはそのトリマキみたいなのにやられてました。
向こうずねガンて蹴られれば涙ぐむほど痛い。
机と机のあいだを歩けばそいつが脚を出して転ばそうとする。
筆箱を「おーっとついうっかりー!!」と言って払い落とし、私が黙って涙ぐみながら机に置き直すと、また払い落とされる。
まあ、中学あがったらあがったで、とあるトンデモばばあ教師がいたし
保育園でもいじめられたけど。確かある幼稚園でいじめられて別の保育園に入れてもらったけど、そこでもね。
話は小学校に戻る。
小一の比較的はじめの頃に思い当たる火種はあるけれど、それが6年間も私をいじめていい理由になるとは、とても思えない。それになんとなく、自分はぶさいくだから、いじめられても仕方がないと思ってもいた。小学五年生くらいの私はとくに肥満で、デブでブスなのでデブスなんて怪獣みたいに言われてた。
◆
よくね、言うじゃありませんか。いじめをなくそう、って。主に大人がさ。
なくなるわけないですよ。だって、大人どうしのいじめもなくせないのに。
もっと若いころは思ってましたよ、
大人になれば分別がつくんだから、いじめなんてバカなことはしないだろうって。
いやあ、とんでもないです。
大人になったときのほうがヤバイですよ。海千山千の、巧妙にちくちくするお人とか、
なんかもう、言葉やら何やらで人をサンドバッグにするとか、つまりは
ストレス解消に利用されることとか。
でも子どものほうがエグいところもあるか。
◆
世間は、あなたがいい人、つまりふつうの善人になるのを、ことごとく邪魔してきますよ。
家族にすら苦しめられることもあるだろうし、あなたもまた家族や誰かを苦しめているかもしれない。
犯罪に走らないで、おかさないで済ますのも、実は意外と難しい。
あるいは正気でいるのも。
◆
小学五年生の頃とか。
クラスメイトの女子に、好きな人教えて、内緒にするからと言われて
バカな私はバカ正直に話して、
その約束などなかったかのように、あの男子が好きだと広まり、私が好きになった本人から、気持ち悪いからやめろといじめられ。照れ半分にしては酷なやり方で。
すこし前、よせばいいのに、冒頭から書いている一人のいじめっ子男子の名前を
facebookで検索してしまった。
それなりに大学を出て、それなりに就職をして、結婚して、県外に住んでいた。
あたまのよさそうな眼鏡をかけて、いかにも好青年だった。
相手の女性は、この人をどんな人だと思っているのだろうか。
子どもはいるのか。
いるなら、その子は父親をどんな人物だと思っているんだろう。
女の子なら、父親ももっと可愛がるだろうか。
その子がいじめられたら、父親はどう思うのだろう。
私にしたことなど、半分も覚えているのか。
よく、男の子が女の子をいじめるのは愛情表現の裏返しといいますが、
異性なら愛情表現なのでしょうか。ほんとに?
冬の学校の廊下の雑巾がけで、私のかじかんだ手を踏みつけたのが、
はたして愛情表現なのだろうか。
◆
話はすこしだけ変わりますが。
クラスメイト等を自殺におとしいれたいじめ加害者、とくに首謀者や、
ほかの犯罪をした者は、未成年であれば報道されても本名公開はないけれども。
ネットではどうか。
だって今の時代ですからね。
いじめ加害者さんへ。
ネットにもいろんなプロフェッショナルがいます。
いじめている相手が自殺した場合。
マスコミが来なくても、噂も恐ろしい。
すぐに本名を割り出されますよ。晒されますよ。叩かれて叩きのめされますよ。
おそらくイタ電かかりまくりですよ。
まあSNSとかやらなければそれほど痛くも痒くもないでしょうが、
前にもそういう子の本名と顔写真がツイッターにあげられてましたし。
「どうせバレない」ではない。
「どうせバレる」んですよ。
どう言われてもきっと平気なんでしょうけども。
どう書いたら心臓に毛の生えたあなたにダメージを与えることができるのでしょう。
あなたの恥は、あなたの代では終わらないかもしれません。
あなたを神様は許しても、絶対に許さない人はいます。
被害者が命を絶てば、その遺族がいます。
あなたの子孫が、ヒトデナシの子だ孫だ一族だと、指をさされて笑われるかもしれません。
アソビで、汚名と中傷を子孫に遺したいですか?
◆
いじめられても、なんだかんだで
報復になるようなことは、子どものままでも大人になっても、あまりできないのです。
警察と良心の呵責があります。
やられてもやり返せなかったり、やり返そうとしてドツボにはまったり。
いじめられるのいじめるの、という波風をどこかで終わらせないといけない。
ほんとうの勝利は、憎しみの連鎖を断ち切った者に与えられる。
◆
お前には価値がない、などと言ったり書き送ったりした者の存在価値こそ、下がる。
◆
憎まれっ子世にはばかる、とはよく言ったもので、
人をいじめ抜いておいて善良な一般市民として生きていくこともできれば
そのサイノーで、人を蹴落として出世できる人になれるかもしれません。
そんな人は、敵もできるでしょうが、気にならないでしょう。
命を狙われるかもしれませんが。
◆いじめられた子は、
人の心をゆさぶる、すごい表現者になれる可能性を秘めていることがあるようです。
細田守さんもそんな人です。
加害者だった人も、元加害者にしかできない表現ができるのかもしれませんが。
◆
いじめられる人、いじめられた人は、
なんらかの形で、人に寄りそって、世の、人の、役に立てると思います。
こういう絵本があります。
西原理恵子「いきのびる魔法」
http://www.amazon.co.jp/いきのびる魔法―いじめられている君へ-コミックス単行本-西原-理恵子/dp/4091791808/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1419860783&sr=1-1&keywords=いきのびる魔法
アフィリエイトじゃないよ。
まあ、今回はそういう回なのでした。